レクリエーションで素敵な取り組みをしている運動機能特化型のデイサービスがある。
神奈川県で展開しているAwesome Life(オーサムライフ)だ。
オーサムライフでは、いち早くキネクトシステムを活用したレクリエーションを行っている。
言うまでもなく、介護保険の本質・目的は「自立支援」であり、当事者や当事者に関わる専門職は、様々なニーズがある中でも、まずは当事者がいかに自立支援できるかを検討する必要がある。
オーサムライフでは、代表で理学療法士の田中一秀さんが、デイサービスで機能訓練などを通して高齢者の方々の自立支援をサポートしている。
加えて、田中さんは、「TANO」と呼ばれる新感覚のレクリエーションツールを導入しており、TANOの監修や実証実験も行われている。
TANOは、ラッキーソフト株式会社が開発したレクリエーションツールで、「運動」「ゲーム」「脳トレ」などを、高齢者が主役になって画面を見ながら身体を動かし利用できるものだ。
高齢者の方々が実際に動くことによって、センサーが反応し、高齢者の動きに呼応する形で画面の中も動く仕組みになっている。
TANOには、魚釣り、山登り、窓拭き、など40種類上の様々なコンテンツがある。
例えば、山登りであれば、高齢者の方が歩く動作をすることにより、画面の風景が変わっていき、歩いた距離も表示されるというものだ。
つまり、レクリエーションとして楽しむだけでなく、そこにリハビリテーションの要素が入っているということが、TANOの面白い仕組みである。
また、音声認識も可能であるため、失語症の方の発語練習にも取り入れることができる。
実際にTANOを活用している高齢者の方々からも評判だ。
要介護3 脳卒中方麻痺の方
「一生懸命運動したけど、リハビリテーションは単調な動きが多いから飽きることもあるけれど、TANOを使うと集中して行えるから普段より運動量が増えると思う
要支援1 脳卒中方麻痺の方
「病院で『身体のバランスが悪い』と言われるけど、いまいちイメージできなかったけど、TANOを使うことで、自分自身のどの部分のバランスが悪いか実感することができました
要介護2 パーキンソン病の方
「自分の苦手なところを再認識できるのがいいですね。」
田中さん
「TANOそのものは、レクリエーションツールとしてももちろん活用できますが、そこにリハビリ専門職が指導することでさらに効果が発揮できることもあります。TANOのシステムは各種の設定も可能ですので、理学療法士などのリハビリ専門職が個人に合わせて微調整をすることで、当事者の方の課題を解決する仕組みとしても成り立つ可能性もあります。また、リハビリという反復学習を、面白くできるのもTANOの特徴ですし、利用者様同士で話す機会も増えますから、悩みも伝わりやすいですし、目標も立てやすいのです。
田中さんは、2ヶ月間、TANOの実証実験「TANOがリハビリテーションの一助になりえるのか」も行った。
少なくとも身体機能訓練において、自主トレーニングを含め自己効力感は向上した。
それ故、生活領域の拡大への意欲の向上はできる可能性があるということである。
リハビリテーションとは、そもそも前向きな意思を持って行うものであり、その結果として心身機能の維持・回復、そして活動・社会参加につなげていくものであるため、TANOとリハビリテーションは非常に相性がいい。
実際に介護予防教室や、介護施設、リハビリ施設でも導入されている。
TANOを開発したラッキーソフト株式会社代表の三田村さん
「開発の経緯は、『散歩は出先で迷惑をかけるのでしたくない』という祖母の発言にありました。 運動不足は負の連鎖となってしまうので、室内でも散歩疑似体験を出来ないかと考え、 センサーを利用した身体が動けば進む動画というシステムが生まれたのが始まりまです。TANOには施設や専門家、利用者の課題解決のための要素が詰まっています。 今もまだレクリエーションやリハビリテーションを楽しく行いたいという声を元に、開発を続けています。 多くの笑顔が増える事を願っています。」
レクリエーションとリハビリが融合したシステム「TANO」
今後の展開が楽しみだ。