人生を旅する高齢者と作業療法士が紡ぐストーリー
2016/03/01
リハビリ旅行の領域で活躍されている作業療法士がいる。
高齢者の方々の「リハビリ旅行」を実施し、生きがい支援をされている作業療法士の木村英生さんだ。
高齢者の旅行というと、世間一般でよく聞くのは、所謂「付き添い旅行」だが、木村さんが行う旅行支援は一味違う。
木村さんが役員を務めているリハビリ推進センターにはリハビリの専門家である理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、看護師という医療・介護のプロフェッショナルが多数在籍しているため、単なる付き添い旅行ではなく、旅行という目的のためにリハビリができる環境を整備されている。
身体に障害がある方やご高齢の方でも、「適切なリハビリをしてから旅行に行くことができる」という点と、医療・介護のプロフェッショナルも同行するため「旅行自体がリハビリテーションになる」という点が、世間一般の付き添い旅行とは大きく異なる点である。
「旅行に行きたい」という目的を共有することで、利用者さんのリハビリのモチベーションを上げ、旅行に付き添い、旅行中もリハビリを行う。
例えば、バリアフリーの場所だけでなく、医療・介護のプロフェッショナルが見守りながら、段差のある旅館にも泊まるし、駅の階段も上り下りするのだ。そして、釣りが趣味である片麻痺の高齢者の方と一緒に工夫しながら釣りを楽しむ。
加えて、旅行後には、みんなでフィードバックするという、利用者さんのモチベーションを向上させる仕組みも構築されている。
旅行を終えると、旅行のビデオを見ながらフィードバックを行うのだ。
「この旅行プログラムは、最後のフィードバックが非常に重要になります。旅行を楽しむだけでなく、旅行を通して、日常の生活をイメージしながら新たな目標を設定するのです。“リハビリを頑張って旅行に行くことができた”という“達成感”を感じることにより、日常生活の中でも新たな目標を設定しやすくなるのです。私たちは、この“達成感”を非常に重要視しています。ご本人・ご家族、そして私たちも旅行中や旅行後に多くの方が涙を流します。それは、みんなが協力しながら、どれだけリハビリを頑張ってきたかを知っているからです。頑張ったからこそ、当日体調があまり優れなくて、不安で涙を流される方もいます。それを私たちは全力で支えます。」と、木村さん
-難所である駅の階段を、見守られながらご自身で階段を上る-
-上りきった。自然と笑顔が溢れる-
木村さん
「私たちの理念は、《生きる事を真剣に考える》ということです。各種の疾患により、旅行に行きづらくなった方々が、ご自身が好きだったことやご自身のしたいことなど、きちんと目標を持ち、その目標に向かって専門職を含めた仲間と頑張る。リハビリや旅行を通して人生を振り返り、残りの人生も謳歌するのです。私たちの役割は、勿論リハビリを通して彼らを支援することですが、“もういいです”や“どうせできない”という諦めを無くすという点にあります。また、モチベーションが持続するのは、基本的に3ヶ月程度ですので、3ヶ月間集中してリハビリテーションを行います。」
-入りたかった温泉。ご自身で頑張って歩いた後の温泉は格別だ。-
また、随所に作業療法士としてのスキルが活かされている。
例えば、作業療法士は、利用者さんのバックグラウンドを把握し、ご本人の目標を利用者さんと一緒に作り上げ、その目標に対して適切なアプローチ(例えばリハビリの方法・期間など)を設計できるプロである。
また、自助具や福祉用具のプロでもあるため、旅行中に必要な用具を福祉用具事業者の方々と連携し、準備することもできる。
そして、医療・介護のプロフェッショナルとしての観察眼に長けているため、当日の利用者さんの身体・精神状況に鑑み、柔軟にプランを調整することもできるのだ。
「この旅行支援には、ご本人、ご家族、福祉用具事業者様、現地の旅館の皆様、旅行会社様、医師など、様々な方が関わってくださっています。ご本人は俳優で、私たちは演出家です。ご本人が本来持っている力をいかに引き出すか、輝くものを出せるか。それが私たちの役割です。
現地の旅館の皆様も、リハビリやご高齢の方の旅行に対する意識も変わります。なるべくバリアフリーのお店や旅館を選ぶのが一般的だと思いますが、医療・介護専門職が見守りながら、ご本人にしてもらい、身体的・精神的なリハビリを旅行中にも実施する。ご本人の潜在能力を目の当たりにし、現地の方々も驚かれることもありますね。
我々が考えるリハビリ旅行は、旅行はあくまで手段であり、きっかけに過ぎません。重要なのは『生きる事を真剣に考える事ができるストーリー』を創ることなのです。」
と、木村さん。
「人生とは旅である。」とは、よく言ったものだ。
その言葉を象徴する活動が、ここにはあるのだから。
高齢者の方々の「リハビリ旅行」を実施し、生きがい支援をされている作業療法士の木村英生さんだ。
高齢者の旅行というと、世間一般でよく聞くのは、所謂「付き添い旅行」だが、木村さんが行う旅行支援は一味違う。
木村さんが役員を務めているリハビリ推進センターにはリハビリの専門家である理学療法士・作業療法士・言語聴覚士、看護師という医療・介護のプロフェッショナルが多数在籍しているため、単なる付き添い旅行ではなく、旅行という目的のためにリハビリができる環境を整備されている。
身体に障害がある方やご高齢の方でも、「適切なリハビリをしてから旅行に行くことができる」という点と、医療・介護のプロフェッショナルも同行するため「旅行自体がリハビリテーションになる」という点が、世間一般の付き添い旅行とは大きく異なる点である。
「旅行に行きたい」という目的を共有することで、利用者さんのリハビリのモチベーションを上げ、旅行に付き添い、旅行中もリハビリを行う。
例えば、バリアフリーの場所だけでなく、医療・介護のプロフェッショナルが見守りながら、段差のある旅館にも泊まるし、駅の階段も上り下りするのだ。そして、釣りが趣味である片麻痺の高齢者の方と一緒に工夫しながら釣りを楽しむ。
加えて、旅行後には、みんなでフィードバックするという、利用者さんのモチベーションを向上させる仕組みも構築されている。
旅行を終えると、旅行のビデオを見ながらフィードバックを行うのだ。
「この旅行プログラムは、最後のフィードバックが非常に重要になります。旅行を楽しむだけでなく、旅行を通して、日常の生活をイメージしながら新たな目標を設定するのです。“リハビリを頑張って旅行に行くことができた”という“達成感”を感じることにより、日常生活の中でも新たな目標を設定しやすくなるのです。私たちは、この“達成感”を非常に重要視しています。ご本人・ご家族、そして私たちも旅行中や旅行後に多くの方が涙を流します。それは、みんなが協力しながら、どれだけリハビリを頑張ってきたかを知っているからです。頑張ったからこそ、当日体調があまり優れなくて、不安で涙を流される方もいます。それを私たちは全力で支えます。」と、木村さん
-難所である駅の階段を、見守られながらご自身で階段を上る-
-上りきった。自然と笑顔が溢れる-
木村さん
「私たちの理念は、《生きる事を真剣に考える》ということです。各種の疾患により、旅行に行きづらくなった方々が、ご自身が好きだったことやご自身のしたいことなど、きちんと目標を持ち、その目標に向かって専門職を含めた仲間と頑張る。リハビリや旅行を通して人生を振り返り、残りの人生も謳歌するのです。私たちの役割は、勿論リハビリを通して彼らを支援することですが、“もういいです”や“どうせできない”という諦めを無くすという点にあります。また、モチベーションが持続するのは、基本的に3ヶ月程度ですので、3ヶ月間集中してリハビリテーションを行います。」
-入りたかった温泉。ご自身で頑張って歩いた後の温泉は格別だ。-
また、随所に作業療法士としてのスキルが活かされている。
例えば、作業療法士は、利用者さんのバックグラウンドを把握し、ご本人の目標を利用者さんと一緒に作り上げ、その目標に対して適切なアプローチ(例えばリハビリの方法・期間など)を設計できるプロである。
また、自助具や福祉用具のプロでもあるため、旅行中に必要な用具を福祉用具事業者の方々と連携し、準備することもできる。
そして、医療・介護のプロフェッショナルとしての観察眼に長けているため、当日の利用者さんの身体・精神状況に鑑み、柔軟にプランを調整することもできるのだ。
「この旅行支援には、ご本人、ご家族、福祉用具事業者様、現地の旅館の皆様、旅行会社様、医師など、様々な方が関わってくださっています。ご本人は俳優で、私たちは演出家です。ご本人が本来持っている力をいかに引き出すか、輝くものを出せるか。それが私たちの役割です。
現地の旅館の皆様も、リハビリやご高齢の方の旅行に対する意識も変わります。なるべくバリアフリーのお店や旅館を選ぶのが一般的だと思いますが、医療・介護専門職が見守りながら、ご本人にしてもらい、身体的・精神的なリハビリを旅行中にも実施する。ご本人の潜在能力を目の当たりにし、現地の方々も驚かれることもありますね。
我々が考えるリハビリ旅行は、旅行はあくまで手段であり、きっかけに過ぎません。重要なのは『生きる事を真剣に考える事ができるストーリー』を創ることなのです。」
と、木村さん。
「人生とは旅である。」とは、よく言ったものだ。
その言葉を象徴する活動が、ここにはあるのだから。
活動の概要
活動名 | リハビリ旅行 |
活動場所 | 東京都板橋区氷川町2番11号 |
活動を主催している団体名 | リハビリ推進センター |
URL 1 | http://reha-progress.co.jp/ |
URL 2 |