地域で活躍する作業療法士より~地域は机上ではなく、現場で学べ。
2016/02/01
大郷和成さん(作業療法士)
・NPO法人laule’a(ラウレア)副理事長
・元新戸塚病院 副技士長
・作業療法による健康を考える会 代表
・促通反復療法 講師
・日本青年国際交流機構 運営委員
・元新戸塚病院 副技士長
・作業療法による健康を考える会 代表
・促通反復療法 講師
・日本青年国際交流機構 運営委員
元新戸塚病院の副技士長(作業療法士)。元々は医療現場で働いていたが、作業療法士の可能性と地域でのニーズを感じ、独立。NPO法人laule’a 副理事長に就任。laule’aでは、障害を持つ子供たちのための放課後等デイサービス(遊びリパーク リノア)を神奈川県は辻堂で運営。また、laule’aだけでなく、内閣府の国際交流事業、かながわ脳トレ教室、鎌倉バリアフリービーチでのイベント、地域の寺子屋、各種講演など様々な地域のニーズに応えるために、活動の幅を拡大している。セラピストのキャリア支援や教育にも強みを持ち、今後は教育・育成の現場にも活動領域を拡大していく予定。神奈川県における促通反復療法のパイオニアでもある。
「いずれは地域で」
このフレーズは療法士の流行語といっても過言ではないでしょう。
私も漠然としながらこのフレーズを使っていました。
地域志向の高まりは今に始まったことではありませんが
「地域包括ケアシステム」を合言葉にその勢いは増しています。
療法士として地域包括ケアシステムに寄与できるように学びを深める。
そのような勤勉な人が多いのが療法士の特徴ですね。
異業種の方によく褒められます(笑)
例えば、日本理学療法士協会は「地域ケア会議」、「介護予防」の2つの施策に力をいれていますね。
【地域包括ケア推進リーダー】
【介護予防推進リーダー】
二つのコースで人材育成を始めています。
ここで気になるのが、このコースを修了すると地域から依頼がくるようになるのかということ。
コース内容の詳細は分かりませんが、おそらく自治体から依頼があった場合にコース修了者を派遣するといったところでしょう。
理学療法士個人が自治体などにアプローチする方法には触れていないはず。
私が参加した神奈川県の認知症予防のモデル事業にこのコースを修了した者はいませんでした。
県士会への派遣依頼すらなかったのでないかと思います。
しかし、私はモデル事業に参加できました。
ずっと病院勤務で介護予防の研修などを修了していないにも関わらず。
-県のモデル事業の様子-
なぜ参加できたのか。
そこには「関わり方の思考の違い」が大きく影響しています。
■ あるある思考その①
「行動より学びが先にくる」
療法士の多くは「正しいやり方」をしっかりと学んでから行動に移ります。
これでは、「決められた枠組みの中で決められたことしかできません」と言っているようなものです。
正しいやり方に固執しすぎると、かえって行動の幅を制限してしまいます。
地域が求めているのは「専門性を持ちつつ一緒に行動してくれる人」なんです。
ですので、学びはそこそこに、まずは行動してみることが大切です。
失敗を恐れず行動したのであれば、そこから得られるのは「成功」か「学び」しかありません。
■ あるある思考その②
「行動したら対価がほしい」
単位時間の意識が強い療法士の特徴かもしれませんね。
専門性を発揮したのだから対価が発生するのは当たり前。
そのように考えている療法士は少なくないでしょう。
地域で活動するなら「自分がやりたいからやる!対価はあったらラッキー!」くらいで考えておきましょう。
経験も実績もない、ましてや話したこともない療法士にお金を払いたい人は少ないですから。
さて、このような思考の事例を紹介します。
介護予防推進リーダーのコースを受講している理学療法士に
ある地域での介護予防教室で講師を経験してみないかと誘ったことがあります。
喜んで快諾してくれるかと思ったのですが、出てきた言葉は
「休みでいくことになるので考えさせて下さい。ちなみに、謝礼はいくらですか?」でした。
あるある思考全開です。
学びが十分でないから行動に移すことを躊躇する。
専門性を提供するから対価が気になる。
このような対応をされて頼みたいと思う人は少ないでしょう。
あるある思考があると経験と実績を積むチャンスを逃します。
結果的に、地域で活動するチャンスも遠のいていきます。
「Change the あるある思考!」